侘しい風の音

カイコくんがあんなに楽しみにしていた片思いの子とのネズミの国行きが見事にポシャリ、また次回にしようという話しになったらしい。そうなったいきさつを聞いて思わず、力いっぱい、ばっ、馬鹿じゃないの?!何でもっと押し強く行かなかったの?!と叫んでしまった。

 

いや、わかる。相手は彼氏持ちだし押し強くいけない気持ちも十分わかるが、カイコくんが有給までとって楽しみにしていたのに相手の気を伺い過ぎて行けなくなってしまった本人の気持ちが分かりすぎて悲し過ぎて思わず怒ってしまった。

 

そしてしみじみ相手の女の子の気持ちが分からなくなった。2人でバレンタインデー時期のネズミの国へ行くというのは最早友達と行く範疇を超えている。だから彼氏に悪く思ったのかもしれない、と正直にカイコくんにアドバイスするも、でもその日がいいと言ったのは向こうです、と言う。あ、だめだ女の子の気持ちわかんねえ…と2人で頭を抱える。

 

私だったら気のないヤツとはネズミの国へ2人で行かない。そして私はこっちに好意がありそうだなという人をキープする事は到底できないし、相手に気を持たせる事はしない。カイコくんの想い人は軽い気持ちで男友達と遊んでいるつもりなのだろうが、それなら行く場所を選別しなくてはならない。どうなのかどっちつがずで相手を悩ませるのはものごっつう罪だがや。その気持ちはない、とハッキリ伝えてあげればいいのに。

 

どうして想われている人は無神経なのだろう。こっちは少し微笑みかけられただけでも天国へ行くような気持ちなのにその微笑みさえ気まぐれなのだから。

 

そんなこんなでモヤモヤした気持ちを小顔ちゃんに話すと、でも女の子の気持ちもわかる、という。小顔ちゃんは韓国のアイドルにハマっていて推しメンが2人いるのだが、その2人に言い寄られて、彼氏がいてもいいから付き合って、と言われたら一生付き合う。と言うのだ。

 

なるほろ。目からウロコ。小顔ちゃんはいつも私の思いもよらない観点から話しをしてくれる。私だって例えばYくんが2人いてどちらもからすごく求められたら、どっちも断れないね。

 

つまり私がその女の子の気持ちを勝手にカイコくんへの態度は遊びなんじゃないかと(今の所その可能性の方が濃厚だが、本人には言えぬ…)思っているが実は私が2人のYくんに言い寄られている状況と同じならなんと辛い事だろう!!(実際は1人のYくんも振り向かせる事が出来なかったが!)

 

ああ、それは辛いだろな。どちらも好きだから手放せない。いや、どちらも許してくれるなどちらとも一生付き合いますよ。と推しメン2人に囲まれてすごす図を描いて小顔ちゃんがニヤニヤしている。まじで。顔を赤らめて。そうよ、そうね、と私も同意。

 

カイコくんの辛さが遠くにぶっ飛んでいった。ごめんね、カイコくん。私も君の想い人と一緒だわ…推しメン2人に押されたらどちらも手放せずにズルズル行くわ…

 

あー、昼からこの妄想だけで過ごせます!と小顔ちゃんが言う。うむり。たしかに。でも、なんだね、小顔ちゃん、うちらは妄想でしか2人のメンズの間で揺らぐ的な状況が作れないのに、かたやカイコくんの想い人のようにマジ揺らぐ乙女心を地で行く人もいるという真実にちょいと侘しい風が心に吹きよりますなあ…