白鷺、白いな。

海向こうから来た実習生タヌキちゃんに仕事を教えているが、システムも私より使えるし、早いしで何もやってもらう事がない。本当に日本語だけ教えておけばよいくらいだが、その日本語も話すのに少し自信がないくらいで、こちらの言っている意味は全て理解していくれる。

 

急いで落とした翻訳アプリを開く必要なく意思の疎通ができる。それで教える仕事がなくて教える仕事を探すのが私の仕事になっている。雑用みたいな仕事しかなくて申し訳ないし。こちらの寒さで体調を崩して先週は休みがちだったけど今日も青白い顔しながら頑張っている。ええ子やな。心細かろうが1年耐えてくれ。

 

体調の悪いタヌキちゃんを連れてビュービューと吹き降ろす北風の中工場へ連れていくのも可哀想なのでタヌキちゃんに別の仕事を託して工場へ歩いて行く。これはあれか北風と太陽が私の上着を脱がせる賭けでもやっとんのか、おらあ、と叫びたくなるくらいビュービューと風が吹いてくる。ここで太陽がぬくぬく暖めてくれたら上着どころか裸で踊り狂ってもいいから、太陽カモン!お前に勝ちをやるからカモーン!!と叫びたいところ、上空を鴨でなくて綺麗な白鷺が飛んできて工場に留まる。

 

ほえ~本当に何で外で暮らしているのに白鷺はあんな真っ白なままでいられるのか。私が白いセーターやシャツでずっと過ごしたらすぐに黒ずみ毛玉だらけになるぞよ、室内だけでも。白鷺さんは青空に白い羽がキラキラ輝いて本当に美しい。ぼへ~と上ばかり見て歩いているものだから向こうから歩いてくる人も同じように上を向いて白鷺に気がついたようだ。何だか恥ずかしい。何こやつ白鷺を珍しくもないのにボンヤリ見てるのか、物好きだな、と思われないかと自意識過剰になって慌てて工場へ入る。

 

工場へ入って仕事を終わらせて事務所に帰る時に青白い顔したパスタくんに会う。久しぶりに見る月曜日によくする不機嫌な顔したパスタくんだ。同じ課の時にはこの機嫌の乱高下に最初戸惑ったものだが慣れると本当に仕事が嫌なだけなんだな、というクソな理由に気がついて笑えた。今日のパスタくんは顔の割にはフツーの機嫌のようだ。

 

仕事の分からない事を聞いてから、パスタくんの持っているノートに気が付き、何が書いてあるの?仕事のどんな事?と聞くと見せれませんと言う。何?南国の生くさ坊主にでもなりたいって書いてあるの?と聞くと、なりたいですよ南国の生くさ坊主に。と言う。課が変わっても中身はやっぱり仕事大嫌いなんだな。笑える。

 

しかし妹の友達のお父さんも定年退職するまで日曜日の夜になると、あ〜明日仕事行きたくない、と呟いていたそうだから仕事行きたくない気持ちはどんな環境になってもブレない強い真実の想いなのだな。白鷺の羽のように真っ白なウソ偽りのない真の気持ち。そう考えると仕事嫌い、という気持ちが美しい気持ちに思えてきたな…