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じいちゃんの手

今日も大して書く事もない。だから自分の手が何故デカイか書く。何故デカイって単純に遺伝の成せる技だが、父母を通り越して私の手の大きさや形は父方の祖父によく似ている。

おじいちゃんも細くて長い手をしていた。自慢にもならないが、そんじょそこらのメンズにも指の長さとか負けないのではないか。あまりに指が長くて気持ち悪いので、子供の頃についたあだ名は宇宙人だったくらいだからな。子供ってどうしてああも真実を見たまんま美しくも残酷に表現するのだろう。

宇宙人…ってハマりすぎだろ、あだ名。

そんな私のあだ名が宇宙人だった頃の夏休み、私は学年登校日を忘れて寝坊してしまった。父母が朝早くから出かけていて、起こしてくれる人も準備してくれる人もいなかったのだ。

私は髪を伸ばしていて、いつも母上様がポニーテールにしてくれるのに、その日は母上様がいない。不器用な上に人に頼りきりで生きている父母からのあだ名夢見る夢子ちゃん、同級生からのあだ名宇宙人からも伺えるとおり、自分で髪の毛を結わえるハズがない、ぼーっとした小学4年生。

髪の毛ボサボサの私を見かねたおじいちゃんが、どれ、おじいちゃんがゴムで縛ってやろう、とたどたどしい手で一生懸命結わえようとしてくれる。

私はそれを鏡で見ている。おじいちゃんの細くて男の人にしては華奢な形の細長い白い手が、私の髪の毛と格闘している。まとめてもまとめても、バサバサと落ちてくる。

何とか結わえてくれた髪の毛はアチコチから髪の毛が飛び出て母上様がいつもしてくれるポニーテールとは大違いだった。

でも、一生懸命結わえてくれたおじいちゃんに申し訳なくて、これでいいか?と聞かれて、うん。と返事をする。

雨の日でこんなボサボサの髪、おまけに登校時間を大分過ぎている。学校まで辿りついたけれども、とうとう中に入る事が出来ずに走って帰って、おじいちゃんにバレないように、隣の空き家の軒下で時間が過ぎるのを待った記憶がある。

あの記憶は学校をサボった罪悪感とせっかくおじいちゃんが結わえてくれたのに、それを恥ずかしく思ってしまった罪悪感とでかなり長い間誰にも言えずにいたなあ。

今でもたまに自分の手を見ていると、おじいちゃんの手を思い出して、それでいつも鏡越しに私の髪の毛と格闘しているおじいちゃんの手と姿を思い出して、クスっと笑える。

おじいちゃん有難う。あなたから受け継いだこのデカイ手は皆にチンパンジーみたいとか、宇宙人みたいとか、足みたいな手だ、とか言われながらも、揺るぎなくほっそながくてしろ〜くて今日も不器用に動いてますわ。


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