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はなのはなし

工場へ行く時に木蓮がすごく綺麗に咲いている。木蓮は咲いてすぐに茶色く枯れてボタボタ花びらが落ちてくるから、綺麗だなあ、と思えるのは短い間だけだ。

青い空に白い花が映えてどえらい事綺麗だがや。歩きながらもボへーと眺める。しかしこんなに綺麗なのに他の人は顔をそちらに向けもしない。

そこにあるのにないのと同じみたい。木蓮かわいそう。しかしもうすぐ桜の季節だけど桜は咲くのも散るのも美しいから偉大だよな。

フーくんに桜の小さいのないですか?国に持って帰って植えたいです。と聞かれる。盆栽みたいのはあるけど、持って帰って良いのか検疫に引っかかるかなあ?と曖昧な返事しかできない。でも、やっぱり桜を綺麗に思ってくれてる証拠だな。

棚卸をフーくんとしながら他愛もない話をする。お国に残してきた彼女と帰ったらすぐ結婚しなければならないけど、まだ結婚したくないです…と苦笑いしている。自由がなくなるのがイヤなのはどこ国のどんな人も一緒だな。

別の倉庫にも棚卸の準備で出向くとジーくんが手伝いで来ている。力仕事なので大分バテているようだ。

飴をあげておく。話しているといつもジーくん眉毛を綺麗に整えているなあ、と感心する。明らかにわたくしよりお手入れしている。

思った事がそのまま口に出る。毎日眉毛手入れしてるの?と聞くとそんな事はないです。見ないで下さいよ。と恥ずかしそう。

うむ。鏡をみながら眉毛をせっせっと手入れしている所を想像すると可愛いなあ、乙女だなあ、と思うのだ。まあ、ジーくん男だけど。

ジーくんと話していてフーくんの話になる。ジーくんはフーくんと一緒に魚釣りに汚い川に行った事があるのだけど、フーくん達は釣ったフナを食用に持って帰っていた、というのだ。

やっぱりフーくん達のお国の人々は陽気で元気でたくましいなあ。フナまで食べるか。それも汚い川の。しゅごい。

あまりにジーくんがバテ気味なので、フーくんにジーくんのお手伝いに行ってもらい、わたくしは1人で自動倉庫バトラーと格闘する。

眠い。ひたすら出して数えて入れてを繰り返す。半分以上寝ながらやる。寝ながらやっているので、製品は落としてばら撒くし、数えた品物の一部を机の上に出したままにしている。おまけにそれに気が付きもしない。

様子を見に来たパスタくんに指摘されて初め
て気が付くし、ばら撒いた品物も綺麗さっぱり拾ったつもりがアチコチにまだ散らかっている。

役に立たないヤツだ。

しかし工場へ出っ張っているとすごく良い事があるね。人の陰口を聞かなくて済むし、余分な話をしなくても済む。気が楽だ。

へへ。しばらくは楽しめそうだ。

事務仕事溜まり過ぎてヤバイが。でも良い。溜まっているのは自分の仕事だけだ。誰にも迷惑かけぬからな。明日は少し早く出勤して事務仕事をこなして、工場へ尻尾振って出かよう。
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