いてますか〜?

リビングに子供達が勝手に出してきたアルバムがポイッと置いてある。中を見ると私が実家で飼っていた歴代のペット達の写真だ。

クック(犬)サクラ(犬)ミルク(犬)桃太郎(ウサギ)クルル(鳥)プルル(鳥)~涙が〜。今はもういない人々…じゃなくていぬいぬとりとりうっさっさっ。

その中に何故か中学生くらいの我が父上が猫を抱いて写っている白黒写真が混じっている。父上、猫を飼うのはお許しになってくれなかったがご自分がお小さい時は飼っていらっしゃったのね。一緒に写っている猫もなんと愛らしい顔をしているのだ。なかなかの器量よしさんだ。

こうしてみると遺伝の不思議も感じる。高校生の甥っ子はこの若い時の父上様に似ているな。

仕事はボチボチ溜まっている。相談する事がありパスタくんに尋ねるとこちらの話しを熱心に黙って聞いているかと思いきや、ふあ〜と大あくびをしている。

ねえ?殴っていい?と思わず聞いてしまったが黙って殴れば良かった。

しかし人というものは自然とその人に対するランクというか慣れというかそういうものが出てしまうよね。

パスタくんによく電話をかけてくる業者さん、部長に代わって欲しい時は〇〇部長さんいらっしゃいますか?と聞くのにパスタくんの時はパスタさんいてますか〜〜と気安い。業者さんの中でのランクではパスタくんはいてますか〜で許されるランクなのだ。

しかしなあ、あの業者さん西の方のどこからかけてくるのかな。滋賀か京都か大阪か。あの、いてますか〜、という発音が私はとても好きだ。

自分でマネしてみても本場の美しい訛りは発音できぬ。

その点、天上界の方言、やもんで〜(意味・だからーとかそれだから、か?)は非常に発音が簡単だ。誰にでもマネされてもいいのだが、マネしたくなるような素敵な方言でもないのが悲しいところだな。

そういえばうちの父上様世代が話す訛りはさすがのわたくしでも発音出来ぬ程難しいものがある。

鮎の事を父上様、アとエが混じったような発音で言うのだ。フツーならアユ、だが父上様はァエエ、と言うのだ。文字にしずらい。難しすぎて伝えられない。

伝えられないからあのアユ発音ももう絶滅寸前の訛りであるのだ。絶滅させたくないけどアユをあの発音で言うのは乙女にはちと恥ずかしい感じ。

ごめん。静かに滅んでいってくれ。ァエエ。

そうして考えると言葉はめまぐるしく変化するのだなあ。

少し残業した後に事務所を後にする。ちょうどトイレから出てきたパスタくんを見かけたので、話の最中にアクビされた仕返しにワッッ!!と暗闇の中から飛び出して驚かせておく。

けけ。ビックリしておったわ。ざまあミソラシド。

いつか絶滅する大切な方言を話す年長者のお話を耳の穴かっぽじって有り難く拝聴するのが年少者のつとめであるのだ、ぞい。


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