天才ロボット博士

すっかり冬になってきたので、工場へ自転車こぎこぎ行く時に生き物に会わなくなってきた。

羽虫を追い回すスズメもミミズを食べるカラスもケーン!と鳴くキジもいなくなった。一体彼らはどこで冬を越すのだろう。

落ち葉がカラカラ寒々しく転がり構内を北から南に吹き荒ぶ風を真正面に受けながらの自転車は辛いものがある。

やっと着いた工場は温かい。久しぶりの自動倉庫。バトラーは今日も文句1つ言わず指定した通り出し入れしてくれる。

この機械的な動きを見ているとたまらん。いや、機械なんだけど。機械なんだけど、機械もクセがあるんだよね。バトラーと2人(1人と1機械か)イチャコラしていると、無口なパートさんが無口に倉庫に入ってくる。

私も人見知りなので2人で無口なパートになる。無口なパートさんは隣の大物を出してくれる自動倉庫バトラーに仕事をさせている。

しばらくするとピーピー!!と警告音。2人の(1人と1機械。しつこい。)間には慣れた雰囲気が漂っている。

また、ワガママいってるのね。ガタガタ言わずに動きなさい、的に自動倉庫によじ登り何かしている。しばらくすると何事もなかったかのように動き出す。

やはり機械も長く付き合うと慣れてくれるのだな。

そういえば最近、何年後か何十年後かには今の日本の労働力の大半がロボットや人工知能などでまかなえると書いてあったよーな。

まあ、たしかにロボットはモンクも言わないし賃金あげろだの言わないし、経営者にはありがたいばかりだね。その内、恋人にロボットを選んだり、そもそも気がついたら自分も好きな容姿を選んで脳以外全部作りもの、の世界もくるだろーな。絶対。

あーあ。楽しそう。私絶対スタイル抜群の美女っ子になりたい。でもその世界ではみんな美女っ子なので、今の世の中のちょいと造作がズレたお人の方が希少価値が高くて美女扱いかもしれない。

じゃあその世界へ私、今すぐ行きたい。希少価値高すぎちゃん。楽しい。楽しい妄想しながら自動倉庫を去る。

事務所に戻ると私にくれたハズの仕事をパスタくんがやってしまっている。ガガーン!このヒマヒマをどうしてくれよう。

なんでやっちゃうの?と思わず恨み言を言ってしまう。ロボットのいない今でさえ仕事を奪い合ってるよ、コワイコワイ。もし、生まれ変わってそのロボットだらけの世界に生まれたら、私は人類の救世主になるべく天才ロボット博士になって、ポンコツばかりのロボットを作ろう。

ポンコツのロボットはより人間に近いだろう。わたくしも相当ポンコツだからさ。それで、パスタくんもこの電話メモを見る限りポンコツかもしれない。

○○さんに電話繰り返して下さい、と書いてある。くりかえすって、何度もかけろって事?って、聞き返す。

え!おりかえすってこの字でずっと今まで書いてました!と恥ずかしそう。

ま、まあな、私も最近になってアミが網という漢字だと知ったからな、それまでは、綱と同じ字を書いておったからな。おそろしや。

ポンコツな人間がロボットに勝てる訳ない。全力で生まれ変わって天才ロボット博士にならなければならない。
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