心の薬

朝一に美女から顔色悪いよ、と言われる。昼休みにも別の方から顔色悪いよ、と言われる。

そこでやっとこさ自分が貧血気味のまっちろい顔をしている事に気がつく。あれれ。こりゃ、頑張って肉を食べなければ。

頭がボーとするので定時帰り。昨日買わなかった息子の誕生日ケーキを買って帰る。

家で洗濯物を畳んでいると来客。

イケメン置き薬屋さんだ。背の高い爽やかイケメン、今日もイケメン、曇天に眩しいがな。

薬をチェックしている間に、昨日来てくれれば約束通り僕の誕生日に来たことになったのだけど、と息子が言う。

イケメンは昨日は友達の結婚式だったと言う。奥さんと行ったの?と尋ねると、衝撃的いや、笑劇的な事をのたまう。

いや、僕、最近離婚したんです。だから一人で行きました。

えー!?てか、まだ新婚じゃなかったですか?!

そうですね、1年とちょっとですかね。

ぷっ。いや、江戸っ子ちゃんじゃないけど、カスだけど、笑ってしまう。

いやー、良かったですね、じゃなくて、良くはないけど、面白いですね、じゃなくて、いや、何年もたって泥沼で別れるより良かったですね。

と、失言を繰り返す。

なんですかね、嫁の荷物も全部僕が梱包して送ったんですよね。巣立っていっちゃいました。あはは。

あははは!面白いですね!参考までに指輪はどうしたんですか?え?一緒に送った?というかリベンジポルノとかになりそうなネタ送ってないですか?

いやー、リベンジされるような事はしてないですねえ。自由になりたいって出て行っちゃった感じです。

まあ、私だって正社員で働いてたらとっくに別れてますよ!(おい。)離婚なんて珍しくないない!薬屋さんはイケメンですからね、すぐに、またいい人できますよ。

でも、僕はもう女の人信じれないですからねー、結婚はもう懲り懲りです。

イケメン、27歳。すでに人生悟りたり、( 笑 )じゃなくて、(涙)

ひとしきり二人で笑った後は流石に悪い事をしたなと思い、ケーキを買うときに自分だけで食べようと買っておいたスコーンを詫びの品としてして献上する。

たまには自分の卑しい行いが人様の為になるものだ、お腹空いてたんですよね、と満面の笑みだ。

しかし、ここのところ沈みがちだった気持ちがむちゃくちゃ軽くなったがな。

ありがとう薬屋さん。君の置いていくどんな薬よりも今日の事はよい薬になった。

生きてりゃ人生ほとんどの事は笑いのネタになるもんだ。不幸がってるより、自虐的でも笑ってる方がいいな。

また次来るときまでに面白いネタ仕入れておきますね、と自虐的に去って行った薬屋さん。

うむ。生きてりゃなんとかなるもんね。またお話待ってます。
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