繁栄の金魚

今日は雨。実家の庭にある大きな甕の中の金魚を見に行く。

大きなメスの金魚に一回り小さいオスの金魚が文字通り女のお尻を追いかけ回している。体をスリスリして産卵を促しているのだろう、鬱陶しいほどピッタリくっついている。

浮草に使っているホテイアオイにはビッシリとタマゴが産み付けられている。ホテイアオイは日本では冬には枯れてしまうが、どこかの一年中暖かい国では一生繁殖して、外来種として立派に害を振りまいているらしい。

そんな繁殖力極まりないホテイアオイにこれまた繁殖力が恐ろしいほどの金魚のタマゴ。ちょっとした薄気味悪さを感じる。星新一の繁栄の花の話を思い出すな。

この金魚の繁殖力では水槽を際限なく増やしていかなければならなくなる。どこかの異星人がこの金魚の繁殖をとめる手段をべらぼうな値段で売りつけようとしているのではないか。お、おそろしい。

しかし、甘いな異星人。タマゴも子供金魚も別の水槽に移しさえしなければ、親金魚が金魚の踊り食いでキレイに食べてくれるのだ。

うむ。究極のリサイクルシステムだ。素晴らしい。

家に帰る時に、究極のリサイクルシステムの犠牲になりつつあるタマゴのついたホテイアオイを一株もらっていく。

姉も帰る用意をしていて鏡を見て化粧をしている。自分の顔の丸さを嘆いて、丸い丸い、と言っている。

私はすかさずマルサ教祖になる。

丸いことはいいことです!

マルイコトハイイコトデス!

丸いことは正義だ!

マルイコトハセイギダ!

姉もすかさずマルサ教の信者になってくれた。

というか、こういうアホな設定に阿吽の呼吸で反応を示してくれるのは、やはり姉妹くらいだ。

そういえば、姉妹以外でアホ設定にすぐ反応を示してくれた初めての他人は江戸っ子ちゃんだったな。

それからアホドリマーでアホロマンチストな私に応える事は姉妹でも無理なのだが、トトロは素直に反応してくれるな、そういえば。

この歳になって新しい人間関係はなかなか築きにくいが、二人の珍しい生き物に出会えたのは幸運だな。

脳内の珍し生き物図鑑に登録しておこう。

家に帰ってから雨の中傘も差さずに金魚のタマゴをバケツに入れる。

はあ~。早く赤ちゃんうまれないかなあ。

楽しみだ。
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