剣とお城と男の子

朝起きると階下ではゲームし放題テレビ見放題の自由を手に入れる為、早起きをした子供達が望み通り自由を手にしている。

あ、かーちゃん?もうパン焼いて食べたから。と、ちゃっかり朝ごはんまで済ましている。うむ。自立した大人になる為の教育が功を奏している。それより母親になる為の教育が自分に必要であるような気がするが。

今日は天気も良いのでいつか子供達を連れて行きたいと思っていたお城へ行く事にする。

到着して車から降りると下の息子が背中に100円均一で買ってボロボロになった剣を差している。どうやらお城と聞いて忍者か武将かそこらあたりの妄想にとりつかれているのだろう。不自然に差しているので背中もシャツも丸見えだ。まあ、いいや、好きにさせておこう。

お城からの景色はやっぱり素晴らしい。というかお城自体も凛としていて可愛らしい。

歴代の城主の写真が飾ってあるが、最後の城主だろうか、ウイスキーのグラスを手に写真に収まっている。 

なんだろう、この何とも言えない温かい気持ちは。私の後方にいる背中に剣を差しトウトウ言って戦っている息子に通じる愛しさをこの最後の城主には感じるな。どういう気持ちでグラスを持って写真に写ったのだろう。聞いてみたいが、享年77才、うむ。残念だ。

城下町をブラブラしていると、下の息子が2000円近い剣のおもちゃが欲しいという。

高い。別の店へ。そこで380円の剣を見つける。よし、よし、買っちゃるばい!とレジへ行く。

するとレジのおばちゃんが850円です。とのたまう。え?もう一度剣の差してある入れ物を見ると、380円と書いてある表示の上に小さく1本とついている。息子が選んだのは2本セットに手裏剣つき、だから850円てか?

どうしよう。おばちゃんに殴りかかりたい。1本350円の剣の中に850円の剣を紛らせておくとは、なんという手練。さては忍者の末裔か。流石城下町。なんて事もないおばちゃんも忍者なのかもしれぬ、大人しく身を切られる思いで850円を払う。ていうか気持ち的にはザックリ切られいる。この剣100円均一の剣と変わらんよ?涙。

別の店では上の息子が、こんなのはじめて!一生に一度も会ったことがない!という恋する乙女的なセリフを吐いている。どんな一目惚れやねん、と見ると、白木で作った木刀である。1300円。

毎日毎日、拾ってきた棒で開かれることのない競技、ちゃんバラーの為に練習に明け暮れている息子にたまにはご褒美でもあげようかな、と買ってあげる事にする。というか、さっきの850円で精神をやられた。もう、どうでもいい。買いたいなら買いたまえ状態。

娘は剣に喜ぶ男どもに、男の子ってなんで剣が好きなの?やだね、かーちゃん。と大人びた発言。うむ。男とはそういうものよ。

しばらく歩いていると、戦国武将の格好をしたお方が、体育館で甲冑が着れるよ?おいで。と声をかけてくる。

息子は甲冑はともかくモノホンの剣を触りたくて仕方がないらしく、体育館へ行く。どうやら主催は甲冑同好会なるものらしい。

剣を持たせてくれて写真まで撮らせて頂く。大満足そう。下の息子が持っている100円均一でも売ってそうな850円の剣を見ておじさん達が、いいモノ持ってるね、と褒めてくれる。

ええ、なんならその腰に差しているモノホンと交換でもしましょうか、という言葉は飲み込んでおく。快いおじさん達とお別れした後は帰路へ。

家に着くと息子達は剣でず〜っ〜と〜、遊んでいる。上の息子は白木の木刀に息をかけて磨いておる。とっても大事そうに。

それをコタツに座って見ている娘と私。

ぷっ。笑える。男ってなんで剣が好きなんだろうね、という娘のセリフがそのまま出てくる。今日会ったあの同好会の人達も男の人ばかりだった。よーするに、男の人は一生、男の子なんだろうなあ。

ふふ。可愛らしいや。
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