さよならキティ

朝会社に行き机をガラリと開ける。そこには免許証を可愛いピンクのお顔に収めたキティちゃんが待っていてくれた…とはならず、ない。
ない。ないよ。キティがおらぬー!!

家でも探した。車でも探した。きっと会社の引き出しにあるだろうと、夜中に会社に忍び込む勢いで信じ込んでいたのに…のに、ない。

もうダメだ。もうまったく仕事が手につかない。いますぐキティを探して3千里したいくらい。

だが、今日はわたくし担当の品物がドッサリ入ってくる。仕事をトンズラこく訳にはいかぬ状況。ああ!またバットタイミング。

仕方がなく大人しく仕事する。そうこうしている内に自分でも感心するが免許証の事などすっかり忘れてしまう。

向かいのお方が免許証どうするの?と尋ねてくれたので、ハッ!と思い出す。ホントだ。どうするべ。とりあえず落とした事も視野に入れて警察に紛失届けでも出しに行くべ。

仕事を定時で終えて家に帰り、もう一度家の隅から隅までくまなく探す。ほんとにクマのぬいぐるみさえ出てこない。

こ、これはもしや、もしやだが、会社の可愛い子ちゃんが言っていたとおり、わたくしのファンというかストーカーがいるのかもしれぬ。

わたくしのポーチをわたくしの形代としてデヘ♥ゲット♥て思っている殿方(美形でよろしくお願いします)よ、わたくしは困っています。早くポーチを返して下さい。

探しているとだんだん興奮してきて最後のあたりは海に沈む太陽に向かって叫ぶ。キティー!!どこへ行ってしまったのー!!私のキティーーー!!波がザザーン。

子供はこういう母を見てどう思うのだろう。まあ、笑っているからいいか。

とりあえずシラケて見ている夫に連れられて警察に出頭、もとい、警察に出向く。そして警察に、あの、私、ストーカーにキティのポーチ盗られてしまったんです…という真実は秘密にして、免許証落としました、と白状する。

警察は紛失届けを書き書きしながら丁寧に応対してくれる。付いてきた息子にドナルドダックの反射材をくれる。夜中の陽気なミッキーより夕方の警察のドナルドのが可愛い。もう1個下さい、という言葉をグッと飲み込む。

結局、警察では再発行に時間がかかるので、すぐに発行してくれる免許証センターに行くように言われる。時間帯が平日の2時から2時半というタイムセール的な勿体ぶり時間設定。

こりゃ、また明日か明後日会社トンズラこいて行くしかないなあ。

はあー。なんか最近ついてないなあー。エアイケメンにストーカーされるは、腰痛ぽく(あくまで、ぽく)なったしなあ。

あれだな、きっとものすごく良い事がもうすぐ起こる予兆だな、こりゃ。

ワクワク。

どんないい事が起こるのかしら。もうワクワクして眠れない!という設定で今夜は眠ろうじゃないか。

その前にわたしの大事な100円で買ったピンクのキティ、永遠にさようなら〜!!愛してるよ〜!!波がザザーン〜…

さ、寝よ。

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