宇宙生物

朝起きると、ある衝撃の事実に腰が抜けそうになる。私が起きたのは朝ではなく昼だったのである。いくら私が寝過ぎても昼になるなんて事はなかった。

早起きの子供達が鬼のいぬ間に、正確には鬼母の寝こけている間ににゲーム三昧テレビ三昧しているのだが、お腹が空くとかーちゃんお腹空いた、いつまで寝てるの、と起こしに来てくれるか、アホ無邪気なお方ムスカのマネをさせてくれる強烈な日光様のどちらかが、いつも起こしてくれていたのだ。

それが今日はどうした事か。子供達はお腹が空いていても、鬼に大人しく寝ていて欲しかったようだし、お日様は曇天の為、私を起こすという大切なお役目を放棄。

ああーあ。貴重なお休みが半分も終わってしまった。

すぐに大分遅めの朝ごはん時間通りの昼ごはんを食べる。子供達は食べ終わってからも、少なすぎる、お腹減った、と文句ブーブー。上の息子は朝昼兼用なので2回分食べなければいけないと豪語している。

ふと、思い立ち妹から借りた料理の本が山積みされてホコリをかぶっているのが気になり、それならクッキーの本もあったハズ、とクッキーを作る事にする。

しかし、いろいろ足りない。まずバターがない。マーガリンで代用。バニラエッセンスもない。とうい事で本にのっていたバニラエッセンスを必要としないクッキーを作る事にする。奇跡的に材料のクルミはあったが量的に足りないので、私の生きる支えでいつも欠かさず手に入れているピーナツで代用。

なんだかこのクッキーは手でコネコネして作るらしい。ちょー簡単。ふむふむ。本の分量どおり、作り方の通り作った…ハズなのに、なんだこれは。

クッキーの生地というものはこんなにべっちょべちょなものであろうか。包丁で菱形の形に切り分けましょう、と書いてあるが、切ろうとすると包丁にべったり生地がくっついてくる。

それをスプーンで剥がそうとすると今度はべったりスプーンにくっついてくる。なんだか触れるもの全てに寄生して増殖する得体の知れない宇宙生物のようだ。コワイ。

どうにも困った。もう面倒くさいので縦横30センチの巨大なクッキーを1枚作ったつもりでオーブンにぶち込む。

本に書かれている焼き時間では到底焼ききれない宇宙生物クッキー。仕方なく途中で包丁で20枚程に分裂させる。焼きが入った後なので流石にクッキーの寄生能力もおちたようで、今度はちゃんと包丁で切れる。

だが、普通クッキーは焼く前にハートとかクマさんとかドリーミーでキューティーな型をとるモノであるのに、焼き入れた後に宇宙生物アメーバー型に成型するクッキーなどあるのだろうか。もしかして、私ってクッキー界の新世?革新的?

子供達は出来上がったクッキーを美味しい美味しい、かーちゃん天才、と褒めて食べてくれる。良かった。日頃からあまり美味しいものを食べさせていないお陰で大概のものは美味しく感じる舌に育っている。しめしめ。

しかし今回のことでわかったのは形にとらわれてはいけないという事だ。見た目エイリアン的クッキーも食べればうまいのである。

人間も見た目で判断してはいけない。などと、先日見たドラマでイケメンが校門で想い人を待ち伏せするシーンを見て、ほ、惚れてまうやろ!でもこれがお太りになられたちょいと顔の造作がズレたお方だったら、即警察もんだろうよ!!と叫んでいた自分を思い出す。

しかしなあ。美女とか美男とか、そういう概念が近い将来消えてなくなるであろうと思う。私の好きなアニメでは身体を思いのままに替えれる。意識だけが自分のものである。

ネットの世界など放たれた意識の集まりでもあるし、この日記もある意味私から離れた意識の固まりのようだし。

自分とはカタチとイシキの収束されたものであるけれどもテクノロジーが進んでカタチとイシキの結びつきが緩くなった世界では、自分というものが何処にあるのかわかるのであろうか?などと、宇宙生物型クッキーを食しながら考える。

こげな変な事ばかり考えているから、アホじゃないの?と妹に言われたりするのであろうな。

さて、雨天でわからぬが日が傾いて来たので、急いで来週の新幹線の切符を買いに行かねば。

ぬう。マーガリンの入れすぎたクッキーは胃にもたれるばい…

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